わたしと専務のナイショの話

 



 食事を終え、ビルの地下の駐車場に行った京平は、並んだピンクと濃紺の二台の車を見ながら、文句を言い出した。

「で、これだよ。
 いい雰囲気になったかなと思ってたのに」

 いや、なってはいませんよ……。

「なんで、お前はまた、今日も自分の車で来てるんだっ」

 通勤に便利だからですよね~……と思いながら、のぞみは主張する。

「うちの家から会社まで、バス電車バスと何度も乗り換えないといけないんで、めんどくさいんですよ。

 っていうか、なんで車で来ちゃいけないんですか」

「……送っていきたいからだよ」
と言われて、ちょっとどきりとしてしまったが。

 いやいや、これも京平の壮大な計画の一部に違いない、と思い、ときめかないようにする。

 ……まあ、ときめかないようにしている時点で、既にときめいてしまっているのかもしれないが。