わたしと専務のナイショの話

「……なんだって?」

「橋になりたかったらしいです。
 みんなに、お前は人柱にでもなるつもりかと言われていました」

「それ、橋作る人になりたかったんだろうが。
 突っ込んでやるなよ……」
と言いかけた京平だが、

「いや、お前の従兄だからな。
 本気で橋になりたかったのかもしれん」
と真剣に語り出す。

 あのー、貴方は私の身内について、どのようにお考えですか……?
と思っていると、京平が、しんみり窓の外を見ながら言ってきた。

「まあ、俺も一度は子どもの頃からの夢を叶えたから。
 満足かな」

 そうか。
 専務は、教師になるのが子どもの頃からの夢だったのか、とのぞみは思う。

「短い間だったし、立派な先生じゃなかったかもしれないが」
となにかを思い出すように、ちょっと笑った京平を慰めようと、のぞみは、

「先生……」
と呼びかけてみた。

「大丈夫です。
 先生は、それなり、いい先生でしたよ」

「なんで上から目線だ、生徒……」