わたしと専務のナイショの話

「なにを言っている。
 結婚するためには、双方の親に挨拶しなければ駄目だろう。

 式場だって、早く押さえないと。

 既に計画は出遅れている」

 いや、だから、その謎の計画を遂行しようとするの、やめてください、と思っていると、

「キ……」
と言いかけ、京平はやめた。

 今、キスもしてないし、と言おうとしましたね?

 そんな訳のわからない計画のために、ファーストキスを持っていかれてたまるかと思いながら、のぞみは言った。

「あの、どのみち、今週末は無理ですから。

 従兄のカズくんが海外に転勤になるので、みんなで見送りに行くことになってまして」
と言うと、京平は、ほう、と言う。

「そういえば、カズくんも就職するとき、今の会社にするか、かなり迷ったらしいんですよねー。
 子どもの頃からの夢を叶えるって難しいですよね」

「そのカズくんとやらは、子どもの頃、何になりたかったんだ?」

「橋になりたかったらしいです」