わたしと専務のナイショの話

「いや、はっきり俺だと、わからないかもしれないが、出ているぞ。
 そうか、それで、ピピッと来たんだな」

 いや、どうなんですかね……。

「まあ、此処だけの話、お前、筆記試験がすごく良かったらしいんだ。
 お前の大学より、いい大学の奴よりよっぽどな」
と京平は言う。

「そうだったんですか。
 いや、一応、勉強はしたんですよ。

 同じ大学から、うちの会社に入ってる先輩に話を聞いたりして」

「なんだ。
 ちゃんとやることやってるんじゃないか」
と言う京平に、

「だって、就職試験って、なにをどうしていいか、わからなかったから。
 とりあえず、やれることは全部やろうと思って」
とのぞみは答える。

「そうだ。
 それと、作文書かされたろ」

 あ、はい、と言うと、
「お前、志望動機を書けと言っているのに、なんでだかわからないが、風呂釜の歴史について、延々と書いてたらしいな。

 うち、風呂だけ造ってるわけじゃないんだが……。

 よくわからないが、採用担当者は、お前に妙な情熱を感じたらしいぞ」
と言われる。