わたしと専務のナイショの話

 そう言ったあとで、ふと、気づいたように、
「そういえば、お前、他に何処の会社受けたんだ」
と京平は訊いてくる。

「受けてません」

 幻聴だろうか、という顔を京平はした。

「……うちに受かる自信があったのか?」

「ありません」

「どんな莫迦者だ、お前は。
 落ちたら、どうするつもりだったんだ」

「旅にでも出ようかと――」

 実は特になにも考えてはいなかったので、ぼんやり、そう言ってみた。

 すると、
「それで、詩人にでもなるつもりだったのか」
と京平は、またも鼻で笑って言ってくる。

 うむ、元恩師にして、現上司だが、今、手にしているこのフォークで突いてみてもいいだろうか。