わたしと専務のナイショの話

「なんか理系の方が格好いい感じがしたからだよ」

 ええーっ? とのぞみは声を上げてしまう。

「先生もモテたいとか思ってたりしてたんですか?」

 莫迦、と京平は言ってくる。

「格好よくありたいと思うのは、モテたいからだけじゃないだろうが。

 理系クラスって、なんか賢そうに見えていいなと子どもの頃、近所のおにいちゃん見ながら、ぼんやり思ってたせいで、なんとなく理系に行ってしまっただけだ。

 これ、領収な。
 あと、お前書けよ」
と紙の束を渡される。

 そこで、のぞみの顔を見た京平は、ちょっとムッとしたような顔をし、
「ほら、早く行け」
と鼻をつまんできた。

 いてて……。

 鼻を押さえながら、のぞみは思う。

 どうやらバレてしまったようだ、と。

 専務も可愛いところあるじゃないかと思ってしまったことが。

「失礼しましたーっ」
と頭を下げ、のぞみは、そそくさと逃げ帰った。