わたしと専務のナイショの話

 



 朝は用事もないのに、無理やり用事を作って専務室に行ったのだが、今は、用事があるのに行きたくないな。

 そう思いながら、とぼとぼと専務室に向かい、
「失礼します」
とのぞみが中に入ると、京平がこちらを見た。

「どうだった?」
と訊いてくる。

 先程、専務室を出たあと、祐人と揉めていたのを気配で察していたらしい。

「あ、えーと。
 すみません。

 いろいろとバレてはしまいましたが、なにも話さないでいてくれるそうです」
と自分が乗せられてしゃべってしまったところは微妙に誤魔化しながら言うと、

「そうか。
 なら、よかった」
と京平は言ってきた。

「まあ、御堂だからな。
 ペラペラ人にしゃべったりはしないとは思ったんだが。

 御堂に知れたのなら、いろいろ協力してもらえることもあるかもしれないから、かえってよかったかな」

 京平はそう言ったあと、もうその話には興味がなくなったかのように、手にしていた封書に視線を落とす。

 うーむ。

 なにか、必死に御堂さんを口止めした私が莫迦みたいなんだが……。