わたしと専務のナイショの話

 ……嫁になるかもしれない女の困りごとより関心があることってなんですかね?
とのぞみは恨みがましく京平のその後ろ姿を見つめてみた。

 だが、見ているうちに、のぞみも違うことが気になってくる。

「専務」
「なんだ?」

「あのー、そこから下見て、ぞわぞわっと来ないんですか?」
とのぞみが訊くと、京平は、また、阿呆なこと訊くなあ、という顔をしたあとで、

「いや、俺も高すぎることころは苦手だ」
と言ってくる。

「だが、こういう役職につくと、高いところに上がることが多いから、慣れようと思って」
と言ったあとで、京平は小首を傾げながら言ってきた。

「なんで、重役室とか社長室とか、最上階近くにあるんだろうな?
 火事や地震のとき、逃げにくいじゃないか」

 職員室は一階なのに、と言う京平に、いや、あんた、生徒置いて我先に逃げる気だったのか……と思う。

「そうですね~。
 ヘリに近いからじゃないんですかね~?」
と天井を見上げながら、適当なことを言うと、

「そういえば」
と京平が思い出したように言ってきた。