「御堂に聞かれてた?
別にいいじゃないか」
京平は仕事をしながら、そう流してきた。
専務室は、専務用の小さな秘書室とつながっている。
来客はまず、此処に来るのだが、のぞみは全体で使っている秘書室から、この小さな秘書室まで行くのが、まだ、ほとんどで、専務室の中に入ることはあまりなかった。
なんとか用事を作り、専務室に入ったのだが、京平は、祐人にバレたかもしれないことには、然程、興味を示さなかった。
「よく考えたら、お前との結婚話はもれていいよな。
お前が俺とどう出会ったのかさえ、しゃべらなければ」
いやいや、ちっともよくありませんよ、と思っていると、
「まあ、お前が、入社早々男を捕まえた、結婚までの腰掛けOLと思われるだけだし」
と京平は言う。
いやいや、貴方は、自分の妻がそのような評価でいいのですか、と思っていると、京平は、
「そんなことより、俺には今、もっと重大な関心事があるんだよ」
と椅子を回して、窓の方を向き、溜息をつく。



