のぞみが家の中に戻ると、信雄が言い出した。
「あんな男前で金持ちで、しっかりした男が、のぞみと結婚したいなんておかしいじゃないか。
のぞみは遊ばれているのに決まっているっ」
いえ、まだ、なにも、もてあそばれてません、というか――
とさっき手を握ったまま、止まっていた京平をのぞみは思い出していた。
意外と口ほどにもないような、と京平に後ろから飛び蹴りを食らわされそうなことを思う。
「あんないい男がのぞみをなんて、結婚詐欺とかなんじゃないのか!?」
……お父さん、うちより、専務のおうちの方が遥かにお金持ちです。
そして、専務、めっちゃ高評価ですね~。
今、走馬灯のように可愛がられた思い出がよぎったのだが、その娘を、のぞみなんてと言ってしまうぐらい専務の評価は高いようだ、とのぞみは思う。
意外に気が合いそうだな、この二人。
京平の言葉ではないが、理屈ではなく、そう感じていた。



