「姫様・・・姫様・・・」

呆然としているイーディスにマリは

小声で話しかけました

「・・・どうやらこの熊」

「私達を熊だと思っているようです」

「うまく話を合わせて逃げましょう」

「えっ、あたしそんな剛毛じゃ・・・」

「お嬢さん方!早くっ・・・」

「おじょっ!・・・」

大熊は一瞬息を吸い込み

胸の辺りを押さえながら

のそりと倒れこみました

イーディスとマリは顔を見合わせ

動かない大熊の背中を見てみました

「矢が・・・刺さってる」

「マリちゃん、熊さん死んだの?ねぇ?」

「多分・・・そうだと思います」

「だけどこんな細い矢一本で・・・」

「とても腕のある狩人でしょうね」

「分厚い熊の皮膚を貫くなんて」