実は私もちょっとアタマに来てた。


やっと文化祭にちゃんと参加出来るって、喜んでたくせに、いざとなったら何なのってずっと思ってた。


「先輩。」


「水木。」


「何してるんですか?」


「えっ?」


「やる気ないんなら、帰って下さい。」


「水木・・・。」


茫然と私の顔を見つめる先輩。


「ちょっと、いきなりなに言い出すのよ。」


「先輩に失礼じゃない。」


黙っている先輩に代わって、反撃してくる取り巻き女子達。


「あなた達もおんなじ。そんなに先輩とおしゃべりしたいんなら、喫茶店でもカラオケボックスでも行けばいいじゃない。はっきり言って目障りよ。」


「ちょっと、あんた何様のつもり?」


「ホントのことだから、しょうがないでしょ。」


いつの間にか、横にいてくれた由夏が言い返す。


「私、先輩のこと、見損ないました。」


この言葉を言った途端、涙があふれだして来た私は、教室を飛び出した。


「悠!」


それを見た由夏が慌てて、後を追う。


「なんなの、あの子。」


「バッカじゃない?いい子ちゃんぶってさ。」


周りの女子がブツブツ言っている中、俺はカバンを持って立ち上がると、入り口に向かって歩き出した。


「ちょっと、先輩!」


「帰る。」


止めるように立ちふさがった沖田を、押しのけると、俺は歩き出す。


「白鳥さん、いいんですか?」


呼び止める塚原の声にも振り返らなかった俺を


「ちょっと、先輩、待って~。」


取り巻き女子達が慌てて追いかけて来た。