ガラスケースの中の音声は、たぶんマイクを通してるから、いつもより煌聖の声が低く聞こえる。


それが独特な煌聖だけの世界観を演出している。


『……何も勘違いしていない…』


俯いていた葛城さんが顔を上げた。


『あぁそうだ。


紅葉は裏切ってなんかない。


ただ単に負けただけだ。


お前は俺の嘘に騙された。


そんなこと夢にも思わないお前の中には動揺が広がる。


だけどお前はちゃんと気づいた。


俺がハッタリを言ってることに。


だけど、そのあと俺は一切態度を崩さずお前の探りを交わした。


だからお前は俺の嘘を信じた。


お前が見くびっていた朝比奈紅葉に騙されていた。


それはお前を動揺させるのに充分すぎるくらいの出来事だ。


お前はその状態でキング戦に参加した。


お前の頭の中では落ち着いたつもりでも、実際は動揺したままだった』