【めとて】 見上げてみると 予想以上に近かった 弱虫なわたしは どうしても顔が上げられなかった もし、もし目が合ってしまったら、とか 見つめていることがばれたら、とか わたしの気持ちを知られてしまったら、とか…… くっだらないことで悩みながら ずっとあなたの手だけを見ていた 手に目がなくて良かった 手と目が合わなくて良かった 音を紡いで声を紡いだあなたの姿が見えなくなる頃 ようやく顔を上げたら、 あなたの猫背と 笑った横顔が見えた また好きになった