心にきみという青春を描く




「ねえ、そこ重ね塗りしたほうがいいんじゃない?」

なぎさ先輩の指示の中、私はアクリル絵の具に挑戦していた。なぎさ先輩は手は出さない。その代わりものすごく口を出してくる。


「じゃあ、先輩が塗ってくださいよ」

「俺、忙しいし」

「忙しそうに見えません」

面倒くさいと言った手前、素直に自分がやるとは言えないのだろう。


「この石膏像、なぎさ先輩に似てますよね」

「え、嘘。どこが?」


いや、私がなぎさ先輩に寄せて色づけしたいのかもしれない。肌は透き通るぐらい白くて、髪の毛は薄茶色で、瞳は黒目が大きい感じに。

でも先輩は肌色が薄すぎるとか、髪の毛は黒髪にとか、私の好きにはやらせてくれないけれど。


先輩とお喋りをしながら、石膏像は一時間で塗り終わった。なんだか夏休みの自由研究みたいで予想以上に楽しかった。

松本先輩の四体目はまだかな、なんて心待ちにしてる自分がいる。