心にきみという青春を描く




「あの、そもそも石膏像に色づけなんかしていいんですか?」

顧問の藤田先生がいないからって、それはさすがに……。


「平気だよ。それ拓人が作ったやつだし」

「……え?」

たしかにこの石膏像の顔は味わい深いというか、どちらかといえば和風の顔立ち。


「どう?なつめちゃん。俺の作品」

「す、すごいです!本物の石膏像かと思ってました!」

「そうやって褒めてくれるのはなつめちゃんだけだよ」


よしよしと頭を撫でられて。詩織先輩がお姉さんなら、松本はお兄さんって感じ。

気を良くした松本先輩は「次の石膏像はなつめちゃんの顔にするから!」と言って、早速また机に向かう。

私の顔かあ……。楽しみなような、あまり見たくないような。


「あーあ。褒めたりするから本当に作るよ」

なぎさ先輩はなんだかんだと言いながらも石膏像のためにパレットに肌色を準備していた。


「だってすごいじゃないですか!こんなの作れる人なんていませんよ」

「うん。すごいし、いないよ。でもみんな拓人の性格知ってるから思ってても言わないんだよ」

なぎさ先輩がクスリと笑う。


どうやら松本先輩は石膏像を石粉(せきふん)粘土というもので作ったらしい。それを使うと強度もあり、彫刻刀で削ることもできるんだとか。

石膏像が完成するたびになぎさ先輩に色づけを頼み、一体目は佐藤さん、二体目は鈴木さんと名前まで付いているみたい。

おそらくこのネーミングセンスは……なぎさ先輩に間違いない。