「……はあ」
一限目の古典は退屈だった。いや、それよりも別のことが気になって集中できない。
俺みたいになっちゃダメ?
なぎさ先輩のダメな部分とはどこだろう。
すぐに居眠りしてしてしまうところ?
それとも無防備に寝言を言ってしまうところ?
「……さん、月岡さん」
隣の席の子に呼び掛けられて私はハッとする。
「次、月岡さんの番だよ」
どうやら朗読の順番が回ってきていたらしい。
教えてくれた子にお礼を言ったあと、私は淡々と教科書の10ページ目を読む。
朗読している間も、頭ではなぎさ先輩のことばかり考えていた。
古典の授業が終わり、二限目は科学室へと移動だった。理科の授業の準備をしながら、なぎさ先輩にメッセージを送ろうか悩む。
でも、メッセージグループだと松本先輩や笹森先輩にも通知がいってしまうし。かと言ってなぎさ先輩の連絡先は個別では聞いていない。
メッセージグループからなぎさ先輩のアイコンをタップして、友達追加することもできるけれど……。
勝手に友達として登録してしまうのは違う気がするし、仮にメッセージを送れたとして、そのあと無視されてしまったら、ちょっと立ち直るのに時間がかかりそうだ。
そんなことをグダグタと考えている内に、気づけば教室には私しかいない。
慌てて私も科学室へと移動をはじめると……。
「おい、芦沢」
階段下の死角になっている場所から声がした。



