心にきみという青春を描く




「絵を描くことも、私に優しくしてくれたことも、意味が必要ですか?先輩の絵を見て感動した人がいて、私は優しくされたことで世界が色づいたみたいに明るくなりました。それではダメですか?……これ以上の理由が必要ですか?」

「必要だよ」

即答されて身体の中の血がぜんぶ頭にのぼってくる感覚。そして……。


「先輩のわからずや!!」


私は肩にかけていたカバンを先輩に向けて投げつけた。



「先輩は自分のことを一番わかってない!」

カバンは先輩の身体へと当たって、教科書が入っているせいか重みのある音を響かせながらドサッと床に落ちた。


「先輩は葵さんを失って絵を描くことへの罪悪感があったかもしれない。楽しそうに描いていると周りは思っていても、ちっとも楽しくなくて苦しいだけだったかもしれない」


そんな先輩の気持ちに誰も気づかなかった。先輩が誰にも気づかせようとはしなかった。


「でもそうやって嫌いになろうと思ってもできなかったんでしょ?だから苦しみながらも描いていたんでしょ?」


捨てられなかったのは先輩のほうなのに、絵を遠ざけて処分してスッキリしてるふりをしている先輩は……。

こんなにもまだ描きたいという自分を許しちゃいけないって、無理やり言い聞かせているのと同じこと。


「いい加減、好きだから苦しいってことを自覚してください」

その気持ちを認めなかったら、なにも変われない。