心にきみという青春を描く




私を家に入れたあと先輩は離れるように「飲み物なにがあるか見てくる」と言ってキッチンのほうへと行ってしまった。

「お構い無く……!」と言った声が果たして先輩に届いていたかどうかは分からない。


先輩の家は相変わらず殺風景で物が少ない。私はリビングのソファーに座ることもできずに立ったままだった。


……と、その時。キィィという軋む音が聞こえてきて、視線をずらすと、先輩の部屋のドアが半開きになっていた。


おそろくこの空気感で、先輩の部屋に入ることは不可能に近い。でも脳裏に焼き付いているキャンバスの海をもう一度見たくて、私はキッチンにいる先輩の様子を伺いながら部屋へと近づいた。


「え……」

バレないように覗くはずだったのに、思わず声が漏れてしまった。だって、だって……。


「なにしてるの?」

気づくと先輩が私の後ろに立っていた。


部屋を勝手に覗いたことはあとでいくらでも怒られる。けれど、まずはこの状況を確認しないと気が済まない。



「どうして……絵が一枚もないんですか?」