「よお、芋女」
こんな失礼なことを言う人は日向くんしかいない。
展覧会の作品はすべて見たけれど、なんせ出品されていた数が多くて名前などは確認しなかったから、日向くんが参加していたことに気づけなかった。
「またてめえか」
日向くんを見るなり松本先輩がギロリと睨む。私はすぐに先輩の腕を掴み、喧嘩にならないように間に入った。
「あいつは?」
そんな松本先輩を無視するように、日向くんは周りを見渡す。
「なぎさ先輩は出品してないので今日は来てません」
「ふーん。やっぱりな」
私の言葉に被せるように日向くんが冷たく言った。
「あいつコンクールとか全然やる気出さねーだろ、なんのために美術部入ってんだって思わねえ?」
「コンクールに出品することだけが全てじゃないと思いますけど」
すぐに反論したのは詩織先輩だった。そして続くように松本先輩も言い放つ。
「お前に会ってからなぎさは明らかに様子がおかしくなった。もういちいち突っ掛かってくるんじゃねえよ」
「はっ、様子がおかしい?」
日向くんのあざ笑うような態度に、みんなの表情が険しくなる。
「トラウマえぐられて首引っ込めてるだけだろ。ひとりだけ被害者面しやがって本当に腹たつ」
そんな日向くんを見て「なにがあったか知らないけど、それは言い過ぎじゃないのかな」と、藤田先生が止めた。



