「それは先輩の一方な約束でしょ?それに、賞は賞でも私のほうが上だったので約束は無効な気がします」
「そんな……」
直射日光を浴びて枯れた植物のように、松本先輩の首がガクッと下がる。そんなコンクリートにめり込む勢いで落ち込む姿を見て、詩織先輩がクスリと笑った。
「まあ、デートはしませんけど、美術展のお疲れ会ぐらいはしてもいいですよ」
「まじ?ふたりで?」
「先輩がすべて奢ってくれるなら考えてもいいですけど」
「奢る奢る!ケーキでも寿司でも肉でもなんでも!」
ふたりの微笑ましいやり取りに顔が緩む。
松本先輩の片思いが報われるのかどうなのか分からないけれど、大好きなふたりがいつか一緒になってくれる日を密かに期待している。
「あ……」
と、その時。藤田先生が突然足を止めた。
私は後ろを歩いていたので背中におでこをぶつけて、「どうしたんですか?」と、前方を確認する。
そこにいたのは宮ノ森の制服を着た生徒たち。
どうやら宮ノ森の美術部員たちもコンクールに出品していたようだ。と、いうことは……と、私はおそるおそる生徒の中に〝彼〟がいないか確認した。



