心にきみという青春を描く




「大丈夫?少しは落ち着いた?」

詩織先輩に背中を擦ってもらいながら、私たちは中庭のベンチへと移動した。部活はもう始まっている時間だけど先輩がメッセージグループを通して【少し遅れる】とみんなに連絡してくれた。


「ご迷惑おかけして本当にごめんなさい……」

どうしたらいいのか分からなくて、気づいたら詩織先輩に頼っていた。


「全然迷惑なんかじゃないけど、やっぱり三上先輩となにかあったの?」

「……私、先輩の過去になにがあったのか聞いたんです。それで告白して、振られて。それでも諦められなくて。私、先輩のことを好きだと思えば思うほどイヤな子になっている気がします」


物分かりも聞き分けもいいはずなのに、なぎさ先輩の気持ちを無視して追いかけてしまっている。

先輩の苦しみや悲しみも考えずに、先輩に想われている葵さんに嫉妬して、ひどく羨ましいと思ってしまう。

自分がこんなにイヤな感情を持っているなんて知らなかった。



「よかった」

私の気持ちとは裏腹に、詩織先輩がホッとしたように微笑んだ。


「私ね、なつめちゃんがいい子すぎて心配だったの。なつめちゃんは規則もルールも言われたことはなんでも守るでしょ?乱すことで周りに迷惑をかけたくないって、しっかりとした考えを持ってることは知ってる」

「………」

「でも、時には踏み外すことも必要なんじゃないかって、なつめちゃんを見て思ってたのよ」

詩織先輩のお姉さんみたいな眼差しに胸が熱くなる。