心にきみという青春を描く




それから一年が過ぎて、俺は三年、葵は二年になった。


「なぎさ先輩、お菓子一緒に食べよう」

葵はことあるごとに教室に遊びにくる。真新しかった制服を着こなして、美術部ではその明るい性格で後輩にも慕われていた。

俺たちが付き合うようになって最初は嫌がらせする人もいたようだけど、一年も経つと諦めたように落ち着いた。


「本当にお菓子好きだよね」

勉強は苦手なのに、お菓子情報だけはつねに調べている。


「だってお菓子食べないと元気が出ないでしょ?先輩がぼんやりしてるのは糖分が足りないからだと思うよ」

そう言いながら甘いクッキーを俺に差し出してきた。葵は変わらずに俺のことを先輩と呼ぶけれど、敬語は使わなくなっていた。


「デブ」

そんな中で、日向がぼそりと毒をはく。

日向とは三年になっても同じクラスになり、遊びにくる葵を交えて三人で話すことは珍しくなくなった。


「残念。実はこれでも一キロ痩せたんだよ」 

「体重計が壊れてんじゃねーの?」

「だったらお兄ちゃんが乗って確かめてよ!」


そんなやり取りに俺はクスリと笑う。日向は以前より葵への態度が柔らかくなった。校内で『お兄ちゃん』と声をかけられてもイヤな顔はしないし、家でもよく話をするようになったんだとか。

葵いわく、今までで一番仲がいいと言っていた。