「いい子だよね、葵。俺もまさか誰かと付き合うことになるなんて想像もしてなかったんだけど、いつの間にか葵の人柄にも感性にも惹かれてた。さすがは日向の妹って感じだよ」
あとにも先にも作品で刺激を受けることなんて、このふたり以外はないんじゃないかって思うぐらい。
「のろけ話ならいらねーからな。勝手に仲良くやってくれ」
日向はベンチから腰を上げて空き缶を遠くのゴミ箱へと投げ入れる。そして公園を出ていこうとする日向がおもむろに足を止めて、くるりと振り向いた。
「でも、ひとつだけ」
なにか言い忘れがあったんだろうと、俺は耳を傾ける。
「あいつのこと、大事にしなかったら許さねーからな」
日向が葵のことを嫌ってるはずがない。不器用だけど、大切にしていることは、ひしひしと感じていたから。
「うん。約束するよ」
力強く答えると、日向はわずかに口角をあげて満足そうに帰っていった。



