心にきみという青春を描く




その日から葵は俺の彼女になった。きっと自然と他の人たちには知れ渡ると思うけど、その前に報告しておかなきゃいけない人がいる。


「俺、葵と付き合うことになった」


兄である日向には『私からお兄ちゃんに話す』と葵は言っていたけど、そこは俺が伝えるべきなんじゃないかと思い、こうして夜の公園に呼び出した。

日向はベンチに座って途中で買ってきたであろう缶ジュースを持っていた。


「こんな時間に呼び出すから何事かと思ったよ」

そう言ってプルタブをカチッと開ける。すでに真っ暗になっている空には俺たちを照らすような月が浮かんでいた。


「驚かないの?」

「なんとなくこうなるんじゃねえかとは思ってたし」


日向が飲んでいたジュースは葵が好きな飲み物でもあった。兄妹だと味の好みも似るんだろうか。

やっぱりそれは一人っ子の俺には分からないし、友達が妹と付き合うことなる気持ちも分からない。でもこれだけははっきりと言っておきたい。


「中途半端な気持ちじゃないよ」

優しさで葵に告白したわけじゃない。


「分かるよ。絵にしか興味がなかったお前が中途半端に付き合うわけねーし」


日向が冷たく見えるけど、ちゃんと周りのことを見ている。だから俺のことを一番理解しているのは日向なんじゃないかって思う。