心にきみという青春を描く




イヤな予感がして、俺は教室には向かわずに一年生の階へと急ぐ。葵のクラスがなん組か知らないので、一組から順番に潰していって、葵は5組にいた。


「ちょっといい?」

俺は注目されてることなんてお構い無しに葵の机に近づく。


「え、なんで先輩が……」

状況を理解できずに目を丸くさせている葵の手を強引に引っ張って、そのまま人気のない場所へ。


「それ、どうしたの?」

美術室のドアをぴしゃんと閉めたあと、俺は葵の足元を指さした。


「これはその、靴下を汚したくなかったので裸足になりました」

「じゃあ、上履きはどうしたの?」


葵はなにも答えなかった。悪い予感は当たっていたようだ。


「ごめん。俺のせい?」

たぶんさっきの女子たちが俺を呼び止める前に、葵の上履きをどこかに隠したんだと思う。

あの口振りでなにもしてないとは考えずらかったから、気づけてよかった。


「先輩のせいじゃないですよ!私、裸足でも全然平気です。むしろ歩きやすくなったと感じてるくらいですから!」 

美術室に葵の明るい声が響く。


「そんな強がんなくていいから」

「強がりじゃないですよ。私、本当に……」

「ごめんね」

言葉を遮るようにもう一度謝ると、葵は全力で首を横に振った。