心にきみという青春を描く



「葵の家はどんな感じなの?」

俺もお菓子を食べながら聞いてみた。


「お母さんともお父さんともすごく仲良しですよ!なんでも話せますし恋ばなもできちゃいます」

「じゃあ、日向とは仲良くないし、なんでも話せない?」

尋ねたあとに少し意地悪な言い方だったんじゃないかと反省した。


「私は話してるんですよ?でもお兄ちゃんが全然相手にしてくれなくて……。たぶん私のことが嫌いなんだと思います」

冷たくあしらわれても気にしてないって思ってたけど、そうじゃなかったようだ。


「不器用なだけじゃない?けっこう葵のこと気にしてると思うけど」


だって葵と仲良くなってから日向は時々なにかを言いたそうに俺を見る。まあ、結局なにも言ってはこないのだけど。


「いやあ、あれは嫌ってますよ。私が家の中でどんな扱いをされてるか知ってます?」

まるで葵はスイッチが入ったようにお菓子をばくばくと食べはじめた。

 
「知らない。教えて」

「私のこといっつも呼ぶ時は『おい』だし、リビングでゴロゴロしてると『邪魔だ』って言うし、お兄ちゃんの部屋に行くとものすごい形相で睨んでくるんですよ!」

どうやら相当不満が溜まっていたらしい。


「昔からそうなの?」

日向は一年中反抗期みたいなヤツだし、俺ののんびりとした性格にイラッとしてる時もあるけど、葵ほどの扱いは今のところされてない。


「そう、ですね。昔からだと思います」


一瞬だけ葵の歯切れが悪くなったのは気のせいだろうか。

でも尋ねる前に葵が新発売のお菓子の話をはじめたので、俺も深くは追及しなかった。