心にきみという青春を描く




そして放課後。部活が終わって俺はパレットを綺麗に洗っていた。すると日向が、「なあ」と横入りしてきた。


「今日の帰り、どっかに寄っていかねえ?」

駅前にハンバーガーショップが新しくできたと誰かが言っていたから、そこに行きたいのかもしれない。


「あ、ごめん。今日は……」

「用事あんの?」


答えようとした瞬間、後ろから思い切り突進された。こんなイノシシみたいなことをしてくる人物はひとりしかいない。


「なぎさ先輩!早く帰りましょう!」

それはすでに帰り仕度を済ませた葵だった。

俺の影に隠れていた日向に気づいていなかったんだろう。目が合って葵は「……お兄ちゃん」と気まずそうにしている。


「なんだ。用事ってそういうことか」

日向が察したように言った。


日向には今日葵がうちに来る予定になっていることは言わなかった。あえて、というよりわざわざ報告することでもないと思ったから。


「じゃあ、いいや。またあとで誘うわ」と、日向は俺だけに別れを告げて、葵に関してはなにもリアクションはしなかった。