心にきみという青春を描く



「先輩、これ見てください!」

そして今日も葵は全速力で俺に駆け寄ってきた。週に二回はこうして昼休みに会っていて、南棟の非常階段が待ち合わせ場所だ。


「なにこれ」

それはカラフルにペイントされた動物らしき作品。


「飲み終わったお茶のペットボトルで作りました!」

葵はあれ以来、完成した作品を定期的に見せてくれるようになった。葵は頭よりも先に身体が動く子なので、こうして身近にあるもので作品を作ることも珍しくない。


「イノシシ?」

よく見るとフタの部分が鼻になっている。


「もう、違いますよ!ブタです!」 

「一緒じゃん。ブタの先祖はイノシシだよ」

「それでもこれはブタなんです」


俺は「ふーん」と返事をしながら、作品を確認する。これがペットボトルだとは思えない立体感。ブタなのにカラフルにしちゃうところが色にとらわれない葵らしい。


「尻尾は青いひまわりで表現したの?」

「はい、可愛いでしょ?」

どうやら葵にとって青いひまわりはトレードマークのようなものらしい。だからどんな作品を作ってもサインのように必ずどこかに記している。


「これ先輩にあげます」

「いいの?」

「もちろんです」

葵はそう言ってニコリと笑った。