心にきみという青春を描く




それから俺たちはよく話すようになった。絵のことだけじゃなく葵の好きなテレビやお菓子の話。

三半規管には自信があると突然くるくる回りはじめて。まるで台風の目のようにどんどんあっちに行っちゃうからさすがに止めたら『ほら、全然目が回ってない』って自慢したあとの一歩目にコケた時にはお腹を抱えて笑った。


葵は他の女子とはなにかが違う。

葵にしか出せない空気感とか、なにをやりはじめるか分からない危なっかしさとか。

俺も抜けてるなんてよく言われるほうだけど、守ってあげたいと思った女の子ははじめてだった。


「なあ、お前ら最近、仲よくね?」

授業が終わった休み時間。日向がぼそりと聞いてきた。お前らとは葵とのことを言ってるんだって、すぐに分かった。


「うん。友達だよ」

「友達……ね」

なんだか疑われているような気がしたけれど、嘘はついてない。


日向は相変わらず学校で葵に話しかけられると冷たくあしらう。だから俺は勝手に日向は葵のことが苦手なんじゃないかと思ってた。

でもこうして不器用ながらに気にしたりはしている。やっぱり兄として妹のことが心配なのだろう。


だったら優しくしてあげればいいのに。

いや、日向が優しくするのは好きな女の子にだけ、なんだっけ。妹は例外な気もするけれど、俺は一人っ子だから兄妹の感覚は分からない。