心にきみという青春を描く




「なぎさ先輩!」

次の日。休み時間に廊下を歩いていると、どこからか声が聞こえた。

先輩と呼ばれることにはまだ慣れてないけど、俺のことを〝なぎさ先輩〟と呼ぶのは今のところひとりしかない。


声がしたほうに目を向けると、一年生の階と繋がっている階段を葵が駆け下りてきた。

それはまるで突進してくる勢いで。案の定、足を踏み外しそうになり、俺は慌てて身体を支える。


「大丈夫?」

「……はは、勢いつけすぎました」


すると、その光景をたまたま目撃していたクラスメイトの女子たちが「うわ、三上くんに優しくされてる」「一年生なのにズルい」という声がして、俺はパッと葵から手を離した。


……ただ危なかったから支えただけなのに、いちいち面倒くさいな。

こういうことを言われるようになってからは、女子と接することをなるべく控えている。

でも、これは不可抗力というか……。腕を掴まなかったら確実に葵は階段を転げ落ちていた。