心にきみという青春を描く




「どうやって塗ったんだろう……」

絵に関しての知識はそれなりにあるほうだけど物にペイントしたことがないので、絵の具はなにを使って、どうやったらこんなに光沢がある色に仕上がるのか。見ただけでは分からなかった。


「ケースの表面をやすりにかけて、下塗りのスプレーやったあとにアクリル絵の具で塗ってたよ」


……アクリル絵の具。

俺は画材に関しては雑食で、描きたい絵に合わせて道具を選ぶというよりは、この道具が使いたいから描く絵を合わせるというやり方でやってきた。

でもアクリル絵の具にはまだ手を出していない。


使うタイミングがなかったわけじゃないけど、ああいう色がはっきりとしてる絵の具はなにを描いても単調になりやすいから、避けていたのだ。


「……こんなに繊細な色味が出るんだ」

アクリルに対しての考え方をあっさりとひっくり返された気分。


「でもなんか新学期の匂いがする」

教室に入った時に鼻を通り抜けるあのツンとした匂い。


「ああ、ニスだろ。完成したあとに塗装が剥がれないように塗るんだとよ」

「へえ」


日向は自分でやったわけでもないのに詳しかった。まるで作業を隣で見ていたかのよう。