「これね、光る絵の具でキャンバスに描いた星なんだ。昼間は何色を使ってもただの白なんだけど、こうやって暗闇に映し出すと光るんだよ。使い道がないからって買わずにいたんだけど、なつめのことを思い出して急いで買いにいっちゃった。どう?けっこう実際の星より……なつめ?」


気づくと私はぽろぽろと泣いていた。そんな様子を見て先輩が心配そうに目線を合わせる。



「どうしたの?暗かったらどこかにぶつけちゃった?」

「……っ、違います。嬉しくて……」

「……え?」

「嬉しくて綺麗で感動して、涙が出ちゃいました」


だって先輩は心ここにあらずという感じて、私の入り込む隙なんてないぐらいなにかを考えていて。

なのに、その頭の片隅に少しでも私の存在があったんだなって思ったら、たまらなく嬉しさが込み上げてきた。


「なつめは可愛いね」

先輩は甘い声で私の頭を撫でた。

先輩が描いてくれた満天の星空には流れ星まであって、きっと見たことがないと私が言ったから描いてくれたのだろう。


止まってる流れ星は三秒間で消えたりしない。

だから家族が健康にとか、成績が上がるようにとか、そんな願いごとだけじゃなく、三秒間では言い終わらない願いがたくさんある。