心にきみという青春を描く




「あ……」

と、その時。宮ノ森の生徒のひとりが声を出して、立ち止まった。

黒髪で精悍な顔立ちの男子の視線は、私たちを通り抜けて最後尾にいるなぎさ先輩へと向いている。



「へえ、生きてたんだ」

知り合いなのだろうか。それにしても癇に障る言い方をするというか、感じが悪い。


「……日向……」

なぎさ先輩が、消えそうな声で呟いた。


日向(ひゅうが)と呼ばれた人は、先輩に詰め寄るように近づいて、下から上まで観察するように見る。


「元気そうじゃん」
「………」

先輩はなにも言おうとはしない。それどころかなにか背けたいことがあるように、その人と目すら合わせられない様子。


「なんか言えよ。つか、俺に言うことあるだろ」

「……久しぶり」

先輩が絞り出した言葉を、その人は深いため息で弾き返した。


「……はあ。お前本っ当に俺をイライラさせる天才だな」

「おい」

その瞬間、会話を聞いていた松本先輩が間に入る。