心にきみという青春を描く




「っていうか普通、生徒よりも先に寝る?」

松本先輩が藤田先生を見て呆れていた。一応部活の合宿だというのに先生はビールを飲んで、すでにイビキをかいて爆睡している。


「厳しくされるよりはいいんじゃないですか。僕、まだやりたいことがありますし」

「え、もしかしてエロ本でも持ってきた?」

「先輩と一緒にしないでもらえます?」

「バカ、俺は持ってきてな――」


「ちょっと、うるさいから静かにして」

吹き抜けになっている二階の柵から顔を出したのは詩織先輩。


みんな雑談をしたり、創作の続きをしたり自由な時間を過ごしている中で、なぎさ先輩がどこにもいない。

私は音を立てないようにそっとドアを開けて外に出た。


「なにしてるんですか?」

せっかく探しにいこうと思ったのに、先輩はログハウスの階段に座っていた。


「なつめこそ、どうしたの?」

「えっと、外の空気を吸いにきました」

「じゃあ、一緒だ」

一緒ではないのだけれど、そういうことにしといて、私も階段に腰を下ろした。

私は先輩の隣にいると、うまく息ができない。息苦しいとかではなく、胸の鼓動が速くなってどうしたらいいのか分からなくなるからだ。


「……星、見えないですね」

運が良ければ満天の星も見えると案内板には書いてあったらしいけれど、今日はひとつも輝いていない。


「関東甲信のほうだと梅雨の影響で毎日雨だからね。雨雲がこっちに来てるんじゃない?」

先輩も同じように夜空に目を向けた。