心にきみという青春を描く




「……先輩、とても可愛い顔してました。本当に村尾さんのことが好きなんですね」

「一年前にね、予備校の見学にいった時に案内してくれたのが健一さんだったのよ。結局私は通うことはしなかったけど、健一さんも淡彩画だから色々とアドバイスをもらうために連絡先だけ交換して、そこから付き合うようになったの」

美男美女のふたり。誰の目から見てもお似合いだと思う。私の中で迷いが生まれる。でも……。


――『なつめだから聞けることがあるんじゃない?なつめだったら話してもいいと思えることが、笹森にもあるかもしれないよ』

なぎさ先輩の声が聞こえた気がして決意を固めた。



「先輩、知らなかったらごめんなさい。でも私、黙っていたくないので言います。村尾さん、結婚してますよね?」

言いながら心臓がバクバクとしていた。


先輩が傷ついてしまったらどうしよう。

先輩の笑顔を奪ってしまったらどうしよう。

そんな私の気持ちを察したように先輩は柔らかく口を開いた。


「大丈夫よ。ちゃんと全部知ってるから」

その言葉に、また違う動揺が沸き上がってくる。


「……知っていて付き合ってるんですか?」

「軽蔑する?」

「い、いえ……」


そう答えたあと、わずかな沈黙。ケヤキの葉がざわっと揺れたところで、先輩が静かに話はじめた。