心にきみという青春を描く



そして一夜が明けた。お母さんは早番なので、今日は私がお弁当作り。

ひとつ作るのもふたつ作るのも変わらないので、お父さんのお弁当箱を借りてなぎさ先輩のぶんも作ったら、朝から先輩は鼻唄を歌っている。


「ご機嫌ですね」

私はこうして一緒に登校できてることが夢みたいだけど。


「だって弁当なんて作ってもらったことないもん」

「え、女の子からないんですか?」

「ないよ、初めて」


……これは、かなり嬉しい。これからは毎日作っていいですかと言いかけたけれど、それは調子に乗りすぎかもと、心のブレーキをかけた。


それから学校に着いて午前中の授業を終えると、昼休みは詩織先輩と中庭で待ち合わせ。

木陰になっているケヤキの下に座り、お互いに膝の上でお弁当箱を開けた。


「そういえば昨日、三上先輩なつめちゃんの家に泊まったんでしょ?」

詩織先輩は可愛いタコの形をしたウインナーを口に入れる。


「泊まったと言っても先輩はお母さんの話し相手になったりお父さんの晩酌に付き合ったりして、全然休まらなかったと思います」

「じゃあ、家族ぐるみの仲になったのね」

「ち、違いますよ……!先輩のコミュニケーション能力が高いだけというか、うちの家族に限ったことではなく……」

早口になる私を見て、詩織先輩はクスリと笑う。