心にきみという青春を描く




「部屋、大丈夫そうですか?一応急いで片付けたんですけど」

先輩が寝る場所は同じ二階の角部屋。普段は物置部屋になっているので、周りには段ボールなどが積み上がってるままだけど。


「十分だよ。ムリ言っちゃって本当にごめんね」

そう笑みを浮かべる先輩からは私と同じシャンプーの香りがした。本当はもっとドキドキしたり、浮かれ気分になってるはずなのに、そうできない理由がある。

ご飯を食べていてもお風呂に入っていても、こうして二階の廊下で先輩と話してる時でさえ〝あの光景〟のことを考えてしまっている。


「当ててあげようか。笹森と村尾さんのことでしょ」

私の思い詰めた表情を見て、先輩が言った。


「え、先輩知ってたんですか?その、ふたりが恋人同士だって……」

「まあ、自分の生徒でもないのに詩織なんて名前で呼んでる時点で普通は勘づくよ」

予備校ではずっとだるそうにしていたのに、やっぱり先輩はよく周りのことを見ている。