心にきみという青春を描く




そのあとトイレやお風呂場を案内して、晩ごはんのカレーを作っている間にお母さんが仕事から帰ってきた。

先輩は丁寧に挨拶をして、お母さんは妹と同様にまじまじとその容姿に見入っていたけれど、先輩が人懐っこいので、すぐに打ち解けていた。


「なつめが男の子連れてきたなんて知ったらお父さん泣いちゃうかもね」

「もう、そんなんじゃないよ」


お母さんの冗談にも先輩は楽しそうに笑うだけ。お父さんはいつも八時過ぎに帰ってくるので、先に三人でカレーを食べた。


「なつめの家族は賑やかだね」

そして夜。お父さんの晩酌にも嫌な顔ひとつしないで付き合った先輩は一番最後にお風呂に入り、二階へと上がってきた。

濡れ髪の先輩はとても色っぽくて、うまく目を見ることができない。


「だ、だから私ぐらいはしっかりしないとと、こんな感じになっちゃったんですよ」

不自然に早口になり、視線は床の木目に向いている。


「はは、なつめの真面目すぎる理由が分かったよ」

なのに、先輩はいつもどおり。


最初はどうなるか心配だったけれど、先輩はあっという間にみんなと仲良くなってしまって、私のほうが拍子抜けするぐらい。


誰からも愛される人なんて言ったら大袈裟かもしれないけど、先輩が作り出すほんわかする空気感はやっぱりすごいなと改めて思う。