『一晩だけダメかな。俺、他に頼める人いないし』
困っている先輩の顔が目に浮かぶ。
頼りにされたことは嬉しいけれど、逆を返せば先輩が私のことをなんとも思ってないから泊めてくれ、なんて言えるわけで……。
「私が断ったらどうなりますか?」
『公園で野宿』
それは可哀想というか、私がイヤ。先輩にそんなことはさせられない。
「お母さんに聞いてみなきゃ分からないけど、たぶん大丈夫ですよ」
『本当!?』
そんなに嬉しそうな声を出されたら、もう断れない。
「私、これから買い物に行かなくちゃいけないんですけど、スーパーまで来れますか?ホームセンターの真向かいにある――」
『分かった。すぐ行く』
「え、あ……」
すでに切られてしまった電話。いつものんびりしていることが多いのに、こういう時の行動力は速いらしい。
適当な洋服でスーパーに行こうと思ってたのにできなくなり、先輩に会っても恥ずかしくない服装に着替えて家を出た。



