「でも村尾さん、すげえいい人そうだったよな。俺らにも丁寧に教室の案内してくれたし、講師って時点でカッコいいっていうか、なんか色々勝てねーなって思ったよ」
「……先輩」
そんな泣きそうな顔をされると、私まで苦しくなる。
「きっと大事にされてるんだろうし、あの人だったら諦めもつくよ。まあ、すぐにはムリだけど、俺は笹森が幸せならそれでいいんだ」
先輩の男らしい言葉に、胸が疼いた。
「先輩!今度カラオケでも一緒に行きましょう!私、奢ります」
落ち込んでる先輩に私ができることといえばこのぐらいしかない。
「お、いいね。なつめちゃん歌えんの?あんま想像できないけど」
「流行りの曲は歌えないですけど民謡ならいけます!小さい頃、おばあちゃんに習いました!」
「ふっ、あはは。オッケー。じゃあ、なつめちゃんは民謡担当な」
「任せてください!」
そのあと松本先輩は少しだけ声のボリュームが戻り、いつの間にか暗い顔から笑顔になっていた。



