心にきみという青春を描く






週末が明けて月曜日。今日も放課後は通常どおり部活があり、デザイン科の人たちにもらったキャンバスはまだ使わずに美術室に立て掛けられている。


「それで予備校はどうだったんですか?」

天音くんが大学ノートにネームと呼ばれる物語のプロットを書いていた。


「勉強になったよ。みんな技術がすごい人たちばっかりだったけど」

あのままなにごともなく終わっていれば、私も『よし描くぞ』と今日は気合いが入っていたと思うけど……。


「で、なんであの人はあんな状態になってるんですか?」

天音くんの視線は、ずっと机にうなだれている松本先輩へ。横長の机と一体化するようにべちゃりと顔を伏せていて、まるで脱け殻のよう。


「えっと……」

天音くんになんて説明したらいいのか分からずに口ごもっていると、ガタッと私たちの前になぎさ先輩が座った。


「今日1日ずっとあの調子なんだよ。話しかけてもぼそぼそ返すだけだし。なにがあったか知らないけど、芦沢が元気づけてあげてよ」

「なんで僕が……」と、天音くんは困っていたけれど、すぐになにかを思い付いたようにカバンを漁りはじめる。そして……。


「あの、これ」

そのまま松本先輩のところにいき、一枚の紙を差し出していた。

そこにはカラーのイラストが描かれていて、この位置だとよく見えないけれど黒髪美人の女性が確認できる。