助手席には拓翔くん、後ろに僕、愛菜、はるちゃんの順に座った。

海沿いをまっすぐ走るタクシーからは
さっき見ていた星空がずっと窓から見えた。

乗ってすぐに
若い2人は寝てしまい、景色を眺める僕に拓翔くんが声をかけてきた。


「やっぱり、俺たち保護者だよな。」
呆れるより笑ってしまう拓翔くん。

「仕方ない。20歳だと知らないことが多いからこっちがしっかりしなきゃって無意識に思ってしまうんだよね。」

「そーだなー。」

すると、運転手さんが恐る恐る聞いてきた。
「あ、あのぉ…
2人ともご夫婦でいらっしゃったんですか?」


疑っているのだろうか
声に驚きを隠せていないので、顔を見なくても理解出来た。

「年の差離れすぎですよね!
よく、間違われるんです」

拓翔くんは笑って答えた。


「はい、少し不思議な組み合わせだなと思い最終的に私は父子家庭の方々と思ってしまいました。」


え?…
父子家庭?…


僕も拓翔くんも一瞬思考停止してしまった。

でも、すぐに拓翔くんが
「あはは、そー見えますよねー
ま、まぁ、よくあることです!!」


笑ってる声は完全に苦笑いの声。
僕も思いたくなかったけど
久しぶりに感じた。



やっぱり、僕はおじさんなんだなぁ…


旅館まで何も考えず
僕は窓から見える海と星空を眺めていた。