やっと、行列が終わり
愛菜たちが開放された。

「恭也さん、お待たせしてすみません!」

「ごめんなさい!!
あんなにみんな握手したいと思わなかったよね!」

「大丈夫だよ
愛菜もはるちゃんもお疲れさま

あと、拓翔くんも。」

「あぁ…」


異様に疲れている様子だった。
「そんなに、大変だったのかい?」

拓翔くんは首を大きく横に振った。

「最初は引っ張ってでも止めさせようとしたけど、あの二人は自分たちの握手会だと思ってないんだ。」

「え?じゃあ、なんだと思ってたんだ?!」


拓翔くんは大きくため息をついて
教えてくれた。

「春奈を引っ張ったらさ…

『拓翔くん、待って!
みんな私たちが触れたイルカを触りたいんだよ!
だから、私みなさんと握手する!』

って春奈も愛菜ちゃんも言うんだよ…」


拓翔くんの言葉を疑った。
いやいや、そんなふうに考えるか?
僕でも握手してくださいなんて言ったら
ファン?!って期待してしまうぞ。


本当に、いや、相変わらず
僕の妻は理解できない。