駅前の喫茶店で拓翔くんを待っていた。
独身の頃はよく会社帰りに寄って
コーヒーを飲んでいた。

結婚してからは一直線に家に帰るようになって、全然来ていない。


「どうも、お待たせしました」

「今日はありがとう。
コーヒーは?」

「あ、さっきレジ前で頼んだから今来る

で、結婚記念日っていつ?」

僕は頭を抱えながら答えた。

「来週なんだ…」

「もうすぐじゃん!!」

「ああ。日曜日なんだよ。
結婚記念日って何するのか分かる?」

「俺はもともと、女の人は遊び道具って
思っててさぁ

貢がせてなんぼって思ってたんだよねー」


拓翔くんの黒歴史に
驚いた。

そう思っていたのに
拓翔くんから出た言葉は驚きだった。

「でも、恭也くんもそのタイプでしょ?」



「え?!
いや、僕は…そんなこと…」

「じゃあ、記念日とかは?」

「いや、どうでもよかった。」

「デートでエスコートした?」

「別にそこまで好きじゃないのにエスコートする必要ある?」

「じゃあ、プレゼントとかは?」

「お金の無駄。それなら好きなことに使いたい。」



二人の間に沈黙があった。

拓翔くんはニヤニヤと笑い
僕はハッとした。


「確かに…
僕も同じタイプかも…

でも!!
愛菜は違うんだ!」

「それを言うなら俺だって!
春奈のためなら何だってする!」



何故か分からないが
自然と、2人で固い握手をして
強い絆が生まれた気がした。



「で、結婚記念日どうするの?」

「どうしようーー」


でも、悩みは解決できなかった。