実家に着いて
夕飯を食べながら、今日のビデオを見て
みんなでたくさん笑った。



夕飯のあと僕達が寝る寝室に行くと愛菜が
電気をつけずにベランダにいた。


「あれ?愛菜
キッチンにいなかった?」

「あ、恭也さん
お義母さんが手荒れをしてはいけないと言われてお着替えしに、お部屋に来たところです。」


なんだか、疲れている様子だった。

今日1日、旦那の家族に振り回されたんだから
仕方がない。


「見てください。
とっても綺麗です」

そう言って、愛菜は夜空を指さした。

「今日の愛菜の方がとっても綺麗だった。」





「え?
恭也さん、そんなセリフ言わないタイプですよね?…」

「あ。たしかに。
でも、本当にそう思ったんだ。」


僕の顔を見て愛菜は笑った。

「ありがとうございます。
恭也さん…」

「なんだ?」

「私のお母さんとお父さんも見てくれたでしょうか?…」

少し寂しそうに夜空を見上げる愛菜。
愛菜が本当に見せたかったのは
お母さんとお父さんなんだよな…

僕は母がいることも父がいることも
当たり前と感じていた。

でも、愛菜からすれば当たり前ではない。

こんな時同情は良くない。



こーゆー時は…


「きっと、見てくれているよ。
僕も母さんも父さんも虎之介も…

みんな、愛菜のウェディングドレス姿に
感動したよ。」


悲しみと寂しさよりも
今ここにある幸せの方が大きいことを
愛菜に伝えなければ。


これからも

ずっと。