「とにかく、座れよ。席替え、写真撮影はそのあとで。ね?愛菜さん?」

部長が後輩達と加賀くんの抗争を止めた。
加賀くんの言う通り…とはいかず
加賀くん、部長、愛菜、僕の順に座ることになった。
ちゃっかり隣に座る部長は嬉しそうに見えた。


改めて乾杯してからは
愛菜に質問攻めだった。

飲み会というとタバコの煙が蔓延しているのが日常だが、今日はタバコよりも美味しいものをみつけたのか
みんな、灰皿が綺麗なままだった。

真ん中上部にある換気扇も
役割なく回っている。


「それより、さっき愛菜ちゃん泣いてたんすよー」

軽い口調で加賀くんが話し始めた。

「だから、皆さんに聞いて欲しくて、ね?」
加賀くんが愛菜に話を振る。

「あ、はい…いいですか?」
愛菜は少し戸惑いつつも、答えた。

もちろん、後輩含め部長たちは
いいよ、いいよと身体を前のめりにして
愛菜の話を聞こうとしてくれた。