今は9時30分だ。
お腹がグーと鳴った。
鞄の中を見ると食パン、ジュース、グミが入っていた。
さっき万引きした物だ。
私は食パンの袋を開けてかじりつく。
今食べる食パンは不味く感じる。
いつもとは違う孤独感を感じた。
近くに古い倉庫がある。
外から見て、誰かが使っている痕跡はない。
恐る恐る扉を開けると、ツーンとカビ臭い匂いがした。
中には農業用のクワやカゴ、畑を耕す物もあった。
ダンボールが山積みにされていて、端にはホコリをいっぱい被っている布団もある。
今日はここで一晩過ごそう。
でも虫嫌いの私にとっては最悪な場所だ。
所々には蜘蛛の巣があって、隅の方にゴキブリもいる。
蛇も出て来そうだった。
積んであった布団のホコリを払い落とし、床に広げた。
それを掛ける訳にはいかないので、制服のブレザーを脱いで掛け布団にした。
辺りは真っ暗だった。
布団に寝そべると寂しくなった。
何故か怖くて寂しくて泣き出しそうで、1人は怖い。
今までの人生の中で1人になる事が無かった私。
いつもみんなの中心にいて、親に留守番もさせて貰った事も無い。
そのせいか、知らない場所で真っ暗で、それも1人なんて耐えられ無かった。
でもまだ、私がここに留まる事が出来るのは、窓から射す月の明かりのおかげなのかも知れない。きっと。