何時間歩いたのだろうか。 何処まで来たのだろうか。 空は真っ暗で冷たい風が吹いている。 辺りに建物はなく、田んぼや畑がひろがっている。 人影すらなくて、世界に私しかいないような感覚だ。 いったい私はこれから、どうすればいいんだろう。 逃げてしまった。 行方不明として、みんなは私を探しているのだろうか。 親は心配しているのだろうか。 いや、こんな時でも私が帰らないと怒っているのだろうか。 時間を確認する為にスマホを取り出す。 スマホを見れば、そのには親からの何百件もの電話やLINEが届いていた。 美雨からのLINEも届いていた。 親からのLINEを見るのが怖くて、美雨のメールを見る。 『未来、大丈夫?』 『未来のお母さんから、未来が帰って来てないって連絡があったよ?』 『コンビニで万引きしたのって本当なの?』 『だから帰って来ないの?』 『ねえ、未来』 『連絡ちょうだい』 『無事なの?』 やっぱりだ。 私の万引きの事はみんな知っている。 知ってしまったんだ。 知られて もう帰らなくて良い。