「LINE♪」
美雨からのLINEだ。

『私ってさ、嫌われてんのかな?』
『莉絵はこれから、私の事イジメるのかな?』
『莉絵は、優しいから私と仲良くしてくれてるんだよね?』
『私、明日学校行かないかも。』

あー。
もう、鬱陶しい。
でもきっと、これは彼女からのSOSだ。
だがそれは私にとっては、どうでもいい事なのだ。

『そんなことないよ』
『だから、明日学校きてね!』
思ってもない事を書いて、返信した。

学校なんて来なくていい。
私は別に美雨がいなくたって、やっていけるのだから。

私の目の前には食パンが1つ。
値段を見ると260円。

私は周りの店員や他の客の様子を伺う。
誰も私の方を見ていない。
近くにもいない。

チャンスだ!!

私の手は置いてある食パンに伸び、さっと取ると、そのままバックの中に入れた。

よし、ゲットだ。

他にもジュースやグミを手に入れた。

平然とした顔つきで店を出ようとしたその時だった。

「あの、すいません。カバンの中見せてもらっていいですか?」
店員らしき人が声をかけてきた。

ドキっと心臓が波打つ。
バレた・・・?

私は店員の方を見た。
冷たい目だ。
親と同じ冷たい目。
その途端、何故か怒りと憎しみが込み上げてきた。
私はいつの間にか、店を走って出ていた。

何も聞こえなくて、自分のハァハァという声だけが聞こえているようだった。

私は何故逃げているのだろうか。
店員を振り切ってどうしよう。
私は完全に、万引き犯として追い詰められている。
親だってきっと知る。
きっと店が家、学校・・・。
みんなが知る。
本当の私を。
万引き犯の私を。
もうどこにも帰れない。

そう考えた瞬間、目から大粒の涙が溢れてきた。
顔がグチャグチャになるくらい泣いた。
家に帰ることなんて出来ない。

取り返しの付かない事になってしまった。
どうしよう。
どうしよう。

もう、逃げるしかない。